東京高等裁判所 平成2年(行ソ)2号 判決
東京都府中市晴見町四-一〇-一
再審原告
三浦正久
東京都目黒区中目黒五-二七-一六
再審被告
目黒税務署長
佐藤清勝
東京都千代田区霞が関三-一-一
再審被告
国税不服審判所長
杉山伸顕
主文
一 本件再審の訴えを却下する。
二 再審の訴訟費用は再審原告の負担とする。
事実及び理由
一 本件再審請求の趣旨及び理由は別紙のとおりである。
二 しかしながら、再審の訴えは、確定の終局判決に対してのみ提起することが許されるところ、原事件(東京高等裁判所平成元年行コ(第六)六号所得税更正処分等取消請求控訴事件)記録によると、原事件の判決は、再審原告(原事件控訴人)の上告の申立てにより、未だ確定していない(原事件は右上告により平成元年行(コ第)一〇一号行政上告受理事件として現に東京高等裁判所に係属している)ことが明らかである。
三 よって、本件再審の訴えは再審の要件を欠き不適法であるから、民訴法四二三条、二〇二条によりこれを却下することとし、再審費用の負担について同法四二三条、九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 田尾桃二 裁判官 寺澤光子 裁判官 市川頼明)
別紙
平成二年(ム)第一号
(原審平成二年(行コ)第六六号所得税更正処分等取消請求控訴事件)。
再審訴状
東京都府中市晴見町四-一〇-一
再審控訴人 三浦正久
東京都目黒区中目黒五-二七-一六
再審被控訴人 目黒税務署長
佐藤清勝
東京都千代田区霞が関三-一-1
再審被控訴人 国税不服審判所長
杉山伸顕
平成二年二月一五日
再審控訴人 三浦正久
東京高等裁判所民事五部 御中
記
再審請求の趣旨
一、東京高裁第五民事部が平成元年(行コ)第六六号所得税更正処分等取消請求控訴事件について、平成元年九月二七日付で言い渡した判決(主文)を取消す。
二、再審被控訴人目黒税務署長が昭和五九年九月三日付でした再審控訴人の昭和五八年分所得税の更正のうち総所得金額二五〇万〇三五〇円、納付すべき税額二三万二〇〇〇円を超える部分及び重加算税賦課決定を取消す。
三、再審被控訴人国税不服審判所長が昭和六二年七月二九日付でした再審控訴人の昭和五八年分所得税につき目黒税務署長によつてされた更正及び重加算税賦課決定に対する再審控訴人の審査請求を棄却する旨の裁決を取消す。
四、訴訟費用は原審第一審第二審及び当審共に再審被控訴人らの負担とする。
との再審決定を求める。
原審決定の表示(主文)
一、本件各控訴を棄却する
二、控訴費用は控訴人の負担とする。
再審控訴人の主張
一、再審控訴人は原審第一審の訴状・及び準備書面(一)、(二)、(三)、(四)、(五)、(六)並びに原審(第二審)の控訴状・控訴理由書(一)、控訴理由書(二)、証拠説明書、証拠説明(追加)書と共に提出した(甲)第一号証から(甲)第八一号までの書証(但し、取下部分を除く)を全て、再度これを維持主張するほか、上告状(平成元年一〇月七日付)上告状補充申立書(平成二年一月一六日付)上告理由補充書(平成二年二月一五日付)及び、追加提出に係る(甲)第八三号証(甲)第八四号を夫々主張立証する。
再審請求の原因
一、再審控訴人は原審第一回口頭弁論期日の平成元年八月二八日以前に控訴状のほか、上申書二部(疎明(甲)二号疎明(甲)三号書証)、控訴理由書(一)、証拠説明(追加)書(疎明(甲)号同(甲)五号証)を夫々に原審たる東京高裁第五民事部宛に同年八月二二日に到着提出した上、右控訴状は勿論控訴理由書(一)、証拠説明(追加)書は同年八月二四日付で相手方被控訴人ら代理人宛受領送逹されていたことは疎明(甲)、四号・同五号証の記録謄抄本上で明らかである。(尚、再審控訴人自ら再審理由を公知し得たのは右疎明(甲)、四号同五号証を入手できた平成二年二月五日である。)又、拠説明(追加)書と共に右期日(第一回弁論)前に同時に当該(甲)号証((甲)第六一号証から、(甲)第八一号証まで)全部も提出されていたものである。
二、 ところが原審裁判所は、第一回弁論期日の平成元年八月二八日再審控訴人から期日前に提出していた右の控訴状・控訴理由書(一)、証拠説明(追加)書等の内控訴状のみ擬制による陳述を認めて、肝心の控訴理由書(一)や、提出中の重要(新)証拠書類については、全く取調べを遺脱した上、原審について直ちに第一回期日のみで結審にしたものである。(陳明(甲)一号証提出)
三、そこで再審控訴人は、平成元年八月三一日原審第一回弁論調書の謄本(疎明(甲)一号証)を入手したことで、提出中の控訴理由書(一)、等については、陳述擬制が認められていたか否かについては未だ確信は得られなつたものの、恐らくは右控訴理由書(一)や提出中の書類の内、重要新証拠などは取調べられることはなく結審されたことは、再審控訴人にとつては、計り知れない重大な不利益が生ずることになると考えた上、直ちに追加書面の控訴理由書(二)、(同年八月三一日付)と共に口頭弁論再開期日指定申立書(同年八月三一日付)を作成し原審裁判所に郵送提出した。(疎明(甲)六号、同七号証提出)ところが原裁判所の裁判長(寺澤光子)は再審控訴人が提出した右口頭弁論再申立書を検討したのに拘らず慢然とこれを考慮することなく、平成元年九月二七日再審控訴人の控訴を却下する旨の判決言渡しをなし控訴人敗訴に至つたものである。
四、そこで再審控訴人は直ちに右原審判決に対して上告状を平成元年一〇月七日付で作成し原審裁判所宛に提出した上、これが原審平成元年(行サ)第一〇一号行政上告受理事件として係属されるや、其の後平成二年一月一六日付けで再度再審控訴人は上告人として上告状補充申立書と共に(甲)第八三号証、同第八四号証も併せて提出した一方、この間疎明(甲)第一証、書簡郵送(小包)受領や、同第二号証配達証明書、同第三号証原審第一回弁論調書等も併せて提出していたことは記録上明らかである。更に平成二月一五日付で再審控訴人から上告理由補充書も追加提出したものである。再審控訴人が特に主張する点はこれら上告状・上告補充申立書・上告理由補充書で主張したとおりであるので、本申立と共に是非御披見の程を特にお願いするものである。
五、以上の事実から、原審裁判所では、民訴法四二〇条四項九号の定める“判決ニ影響ヲ及ボスヘキ重要ナル事実ニ付判断ヲ遺脱シタルトキ。”に該当することは明らかであるから、本再審を求めるものである。尚、再審控訴人は別途上告申立て中であり本訴と重複して居りますが、本訴が受理された時点で審級及び訴訟経済上の利益上、上告事件は条件付で取下げるものである、ので然る可く御理解願います。又、再審控訴人は本訴請求に当たり、再審理由を確認できた事実は、疎明(甲)第四号同五号証等の謄本(又は抄本)を入手した平成二年二月五日(別紙封書原本添付)であった点を御理解賜りたい次第であります。
六、再審控訴人は既に提出した原審第一審第二審の全記録及び、未だ陳述中の控訴理由書(一)控訴理由書(二)、及び、上告状・上告状補充中立書・上告理由補充書を本再審理由書として読み代え重ねて主張するものであります。
右宜しく御判読願い上げますほか、提出中の(甲)号証全部((甲)八四号証まで)についても改めて御取調べ下さることをお願い致します。其の他本訴状添付に係る疎明(甲)第七号証までの、疎明書類も御披見願い上げます。
付属書類
一、疎明(甲)第一号証(第一回弁論調書)(謄本)一、
二、疎明(甲)第二号証、上申書(謄本)一、
三、疎明(甲)第三号証、上申書(謄本)一、
四、疎明(甲)第四号証、控訴理由書(一)(抄本)一、
五、疎明(甲)第五号証、証拠説明追加書(謄本)一、
六、疎明(甲)第六号証、控訴理由書(二)(抄本)一、
七、疎明(甲)第七号証、口頭弁論再開申立書(抄本)一、
(以上)
八、再審控訴人の前記以外の主張事実は再審控訴人より御庁宛提出中の原審の上告事件(平成元年(行サ)第一〇一行政上告受理事件)での上告状(平成元年一〇月七日付)上告状補充申立書(平成二年一月一六日付)及び上告理由補充書、(平成二年二月一五日付)等書面記載のとおりでありますので、右各書面記録を是非御抜見をお願い申し上げます。
以上